Columnコラム

イタリアの貴婦人の名にちなむビターオレンジの優雅な香り

ネロリは、爽やかなビターオレンジの香りで、性別や世代を問わず人気です。たくさんの化粧品に使用されていますが、実はネロリの花はとても貴重です。今回はネロリの香りの特徴や、効果などの魅力についてご紹介します。

大変貴重で高価な精油

原材料のビターオレンジの花を水蒸気蒸留して抽出した精油だけを「ネロリ」と呼びます。

花を溶剤で溶かして抽出した香料は「オレンジフラワーアブソリュート」と呼んで区別しています。

1kgの花から僅か1gしか精油が抽出できない上、栽培に時間がかかるため、ローズやジャスミンと並んで希少な精油の一つと言われています。

ビターオレンジ以外の柑橘類から抽出した精油も「ネロリ」と呼ぶことがあるため、その場合はビターオレンジから採取していることを強調するために「ネロリ・ビガラード」と呼びます。(ビガラードは、フランス語でビターオレンジの意味です。)

ネロリは柑橘類の精油ですが、花から抽出されているため、同じ柑橘類の果皮から抽出された精油よりもマイルドで、どんな肌のタイプにも合いやすいと言われています。

甘くてほろ苦い花の香り ネロリ

ネロリの香りは、甘さの中にやや苦味を感じる、フローラルで優雅な印象です。原料がビターオレンジの花ということもあり、柑橘系の爽やかさも感じられます。

中程度の強さの濃厚なフローラル系の香りを持っていることから、香水の原料としても用いられています。たくさんの花からわずかな精油しか採油できないため、大変貴重で高価です。

ネロリの主要成分

ネロリには下記のような成分が含まれています。

・リナロール

ラベンダーやベルガモットなどにも含まれる芳香成分。抗菌作用、鎮静作用を持つ。

・ネロール

バラに含まれる香気成分。皮膚弾力回復作用を持つ。

・シトロネラール

ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)に含まれる成分。殺菌作用、鎮痛作用を持つ。

・酢酸リナリル

ラベンダーに主に含まれる成分。鎮痛作用、鎮静作用を持つ。

・ネリルアセテート

レモンバームやプチグレンにも含まれている成分。鎮静作用、鎮痛作用を持つ。

・ゲラニルアセテート

バラにも含まれるシトラス系のフルーティな香り成分。抗炎症作用を持つ。

・d-リモネン

レモンなどの柑橘系果皮に含まれる成分。洗浄力、抗菌作用を持つ。

・α-ピネン

松脂やヒノキの香りと同じ成分。リラックス効果や食欲増進効果がある。

・β-ピネン

ローズマリーやレモンなどに含まれる香り成分。抗菌作用、抗炎症作用などがある。

・α-テルピネン

レモンの香り成分。抗酸化作用がある。

・γ-テルピネン

森林の香り。抗菌、抗炎症作用がある。

ネロリの香りに奥深い味わいを感じられるのは、これらの多様な成分を含んでいるためです。

上記の他にも、ビタミンCの1種である2-エチルフランや防腐効果のあるカンフェンなども含み、ネロリの成分は50種類以上と多岐に渡っているため、沈痛・沈静作用やリラックス作用、食欲増進、抗炎症作用、抗酸化作用など、幅広い効果・効能が期待できます。

ネロリの効果効能は?

ネロリは、大量に精油が作れないため、希少価値の高い香りです。

花はひとつひとつ手で摘まれるため、収穫に時間と手間がかかります。たくさんの花からわずかな精油しか取ることができないため、非常に高価なオイルのひとつです。

心への影響

心を穏やかに落ち着かせながらも、明るさのある香りが気持ちを前向きにし、ストレスをほぐしイライラを解消してくれます。「天然の精神安定剤」と言われることもあるほどです。

不安感や心配事があるとき、ストレスがたまって元気が出ない時にやさしく励ましてくれる香りです。

身体への影響

心因性のトラブルに効果的といわれています。ストレスによる胃腸の働きの不調を和らげ、消化不良や腹痛などにも効果的です。

またスキンケアにも非常に適しており、古くから使用されてきました。肌への刺激が少ないので、肌タイプを問わず使うことができます。皮膚のターンオーバーを助け、潤いを与えながら引き締めます。ハリのある肌へと導き、アンチエイジング効果にもすぐれています。

皮膚への効能

肌には保湿効果が高く、細胞を活性化させるので、しわやしわ、たるみ、妊娠線にも効果的です。成熟肌にとてもぴったりな精油です。

体への効能

  • 抗菌作用
  • 抗うつ作用
  • 抗感染作用
  • 収れん作用
  • 鎮静作用
  • 消化促進作用
  • 静脈強壮作用
  • 鎮痛作用
  • PMS改善
  • 更年期障害の緩和
  • 催淫作用
  • 安眠作用
  • 強壮作用
  • 消毒作用
  • 殺菌作用

肌への効能

  • 保湿作用
  • 皮膚再生作用
  • 抗炎症作用
  • 老化防止作用

女性特有の不調・不安定さに

優れた鎮静作用や抗不安作用があることに加え、ネロリに含まれる「ネロリドール」という成分には、女性ホルモンと似た働きがあると言われ、女性ホルモンのバランスを整える働きがあります。生理不順や重い生理痛、月経前症候群(PMS)や更年期障害による身体の辛い症状にも効果があり、血行促進作用もあるため、女性に多い冷えやむくみといった血行不良による悩みにも効果的です。イライラや気分の落ち込み、涙もろくなるなどといった心の症状を和らげる効果もあるので、女性特有の精神的な不安定さの改善に役立ちます。

ネロリには催淫作用があると言われていますが、これはイランイランやジャスミンなどのような男女生殖器の強壮作用ではなく、不安やストレスを鎮める作用によって自分に自身を持ち、精神面からくる性的障害の解消に効果的という理由からそう言われているようです。

香水用としても非常に需要が高い精油ですし、相手を選ばない香りでもありますが、モテる香り(異性が惹かれる香り)だとは思わない方が良いかもしれません。ネロリは甘すぎないフローラル系で、上品さを感じる使いやすい香りですが、香りが強いので、大量に使い過ぎると吐き気や頭痛を起こすことがあります。また、鎮静効果が強いため、使用中に頭がぼんやりするように感じることがあるので、使い過ぎにはくれぐれも注意してくださいね。

相性の良い香り

柑橘系寄りのフローラル調で、ライトな印象のあるネロリはほとんどの香りと問題なく合わせることが出来ます。特に同系統と言えるフローラル系・柑橘系の香りを持つ精油との相性は抜群ですし、甘めの香りであればブレンドすることで全体的な印象を軽くしてくれる存在でもあります。樹脂系やスパイス系でも比率に気をつければマッチしますね。

ネロリのブレンド例

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