ゼラニウムというと、プランターを彩る赤い花をイメージされる方が多いかもしれません。でも、ゼラニウムにも色々な種類があって、アロマテラピーに使える品種もあるんです。ゼラニウムは200種類以上の種類があるといわれる多年草の植物で、ピンク色の美しい花を咲かせます。観賞用として広く親しまれており、世界各地で栽培されています。そのなかで精油が抽出される種類のものはローズのような香りがすることからも、「ローズゼラニウム」と呼ばれています。
華やかなローズを思わせる香りは女性からの人気が高く、化粧品やヘアケアの香料としても使われています。テンジクアオイ、ニオイゼラニウムなど、別名でも親しまれる香りです。
バラに似た香りから「バラの香り」を作るためにも使われているゼラニウム。その香りから“ローズゼラニウム”とも呼ばれていますが、精油はローズに極めて近いというよりもローズのニュアンスを含んだハーバル調の香りです。成分としてはゲラニオール、シトロネロールやリナロールなど鎮静作用が期待できる成分も多いためメンタルケアに役立つと考えられています。女性特有の精神的な不調の軽減、スキンケア用の精油としてもよく使用されています。
ゼラニウムの効果効能は?
ゼラニウムは、視床下部や副腎に働きかけて、ホルモン分泌や自律神経のバランスを調整してくれます。生理に関わるさまざまな不調など、婦人科系の症状をサポート。また、イライラしたり落ち込んだり、緊張や不安を和らげて、気分を明るくしてくれます。
成分は、産地により含有量が異なりますが、ローズと同じ芳香成分であるゲラニオールやシトロネロールなどを多く含んでおり、心身のバランスを調整してくれます。また、シトロネロールは蚊が嫌う香りでもあり、昆虫忌避作用も期待できます。
心への効能
ゼラニウムに多く含まれているシトロネロールとリナロールにも鎮静作用や抗不安作用などが期待されています。これらの成分が複合して働くことで鎮静と高揚・リラックスと活性化など様々な働きを持ち、精神面のバランスを整えることに繋がると考えられています。ゼラニウムは女性的な感覚と関わりがあります。理性や論理が感情を押し殺してしまいがちな人に、感情を受け入れ、直感や創造性を促してくれます。感受性を高めることは自分の感情を素直に受け入れ、リラックスすることにつながります。
体への効能
ゼラニウム精油は循環系への刺激作用を持つ精油として、血液やリンパ液などの体液循環を良くする働きが期待されています。循環が整うことで利尿作用へと繋がり、体内の余分な水分や老廃物の排出を促すことでむくみ・水太りの予防や軽減にも役立つと考えられていますよ。熱を冷まし、気や血液の循環を促す作用があります。特に神経系のバランスをとったり目に関わる症状、関節痛や神経痛、リウマチなどにいいと言われています。リンパの滞留を改善すうことにも役立ちます。またゼラニウムに含まれている精油成分の大半は、抗菌作用や抗ウィルス作用を持つことが報告されている物質でもあります。このため利尿作用と相乗して膀胱炎や尿道炎などの尿路感染症予防・軽減に、抗炎症作用と合わせて風邪やインフルエンザの予防や初期症状ケアにも効果が期待されています。
皮膚への効能
抗炎症作用がとても優れている精油のひとつです。肌への作用にもとても向いていて、保湿や、ニキビ・乾癬・湿疹などの皮膚の不調改善に役立ちます。熱を冷ますとともに湿度を与えてくれ珍しい精油です。皮脂分泌調整作用もあり、皮脂量のほか肌の水分バランスを整える働きや血行促進・細胞成長促進作用なども期待できる精油として、肌を柔らかく若々しく保つ目的で用いられることもあります。肌のくすみや乾燥・角質化など様々なお悩みのケアに取り入れられており、化粧品原料としてもよく配合されています。
また殺菌消毒・抗ウィルス作用があることから火傷や小さな傷、口唇ヘルペスなどのケアにも有効とされています。
体への効能
- 鎮痛作用
- 抗菌作用
- 抗糖尿病作用
- 抗真菌作用
- 抗感染作用
- 抗炎症作用
- 鎮經作用
- 収れん作用
- 鎮静作用
- 止血作用
- 肝臓活性化作用
- リンパうっ帯除去作用
- 膵臓機能促進作用
- 静脈強壮作用
- 性的強壮作用
- 女性ホルモン調整作用
- 利尿作用
- 解毒作用
- 抗ヒスタミン作用
- 神経バランス作用
肌への効能
- 皮脂バランス調整作用
- 保湿作用
- 皮膚軟化作用
- 抗炎症作用
- 血行促進作用
髪への効能
・ 頭皮の皮脂バランス調整
天然の虫よけとしても
ゼラニウムに含まれているシトロネロールやゲラニオールには防虫作用があります。このためゼラニウムは昆虫禁忌特性がある精油として、天然の虫よけ剤としても利用されています。ゼラニウムの香りは特に蚊が嫌う香りと言われていますから、フレグランスを兼ねた蚊よけアロマスプレーを作る方もいらっしゃいます。ただしシトロネロールやゲラニオールなどのモノテルペンアルコール類はダニや蜂を誘引する可能性が高いと考えられている成分でもありますから、使い所には注意が必要という指摘もあります。
香りの相性がいいブレンド
ハーブ系、柑橘系、フローラル系の香りとはとても合わせやすいです。
柑橘系、オリエンタル系の香りと相性が良いとされています。特にレモンなどさっぱりとした柑橘系とのブレンドはゼラニウムが持つ重さを中和し、全体的な香りの印象をライトにしてくれるため、よく利用されています。
ハーブ系・・・クラリセージ 柑橘系・・・ベルガモット フローラル系・・・ラベンダー、ローズ スパイス系・・・クローブ、バニラ オリエンタル系・・・サンダルウッド、パチュリ 樹木系・・・ローズウッド |
ゼラニウムのブレンド例
- 女性領域のケアに⇒イランイラン、ジャスミン、パチュリ
- 気持ちを明るく⇒ベルガモット、ライム、グレープフルーツ
- 痛みの軽減に⇒ラベンダー、クラリセージ、ペパーミント
- 虫除けアロマとして⇒レモングラス、シトロネラ、クローブ
使用する際の注意点は?
濃度が濃く重い香りのため、使用量に注意が必要です。少量でもその華やかさは存在感を持っているため、ブレンドする際には、少量からがおすすめです。
個人的に華やかな香りやその効果を楽しみたい場合はいいですが、フローラルな香りが苦手な男性や子供が多くいるような場所で使う際には、薄く香りを広げたり、ブレンドする精油を選ぶなど、周りに配慮も忘れずに。ユーカリやペパーミント、グレープフルーツなどに少量だけブレンドすると、爽やかでなじみやすい印象になります。