オーストラリアの森林の4分の3を占めるといわれるユーカリの葉から採る精油です。先住民のアボリジニ族はこの木を「キノ」と呼び、傷薬や虫刺され、伝染病など、さまざまな治療に用いていました。
ティートゥリーと同じフトモモ科のため、同じような働きがあります。
ユーカリには約500もの種がありますが、そのうち精油に用いられるのは数種。抗菌作用をはじめとするさまざまな作用が知られています。粘膜や皮膚への刺激が強く、肌が敏感な体質の人は注意が必要です。清涼感のあるシャープな香りは、頭をスッキリと冴えさせてくれます。仕事、勉強や車の運転など、集中力を高めたいという場面に適しています。そして、1,8-シネオールには去痰・鎮咳作用や抗炎症作用があります。風邪や花粉症で鼻が詰まった時、喉にからんだ痰を切りたい時などに、積極的に香りを吸い込むことで症状が改善すると言われています。また、森林浴効果のあるα-ピネン(含有量10~20%)、鎮静作用のあるリモネン(含有量~10%)も微量ながら含まれており、集中力を高めると同時に心を落ち着ける作用も期待できます。抗菌・鎮痛・デオドラントの作用があるとされ、風邪、筋肉痛、花粉症、鼻炎などの対策に役立ちます。
コアラが限られた種類のユーカリしか食さないように、精油に出来るユーカリの種類も限られています。一般に出回っているユーカリ精油は多くても15種類、そのなかでメジャーなものは以下の3種類です。
ユーカリ・グロブルス
抗菌作用が魅力のユーカリ・グロブロス
ユーカリ・グロブルスは、ユーカリ精油の中で最も有名な精油であり、主成分は1.8-シネオールで、含有量は70~80%を占めることが特徴です。
1.8-シネオールの鼻やのどの炎症を鎮める効果により、香りを吸い込むと痰を切ったりのどの痛みを緩和したりという作用が期待できます。
ほかにも、α-ピネンの強壮作用やリモネンの鎮静作用も期待でき、気持ちを落ち着かせながらも爽快感のある香りで集中力を高めることもできるでしょう。
また、殺菌力が強く、免疫力を高める効果も期待できるため、インフルエンザや風邪の予防にも役立ちます。皮膚の炎症を鎮める抗炎症作用もあり、ニキビなど肌トラブルの症状を和らげる効果も期待できる点が魅力です。
ただし、刺激が強いため、敏感肌など皮膚が弱い人は使い方を工夫しなければなりません。
基本的には、お湯に1滴垂らすなどの方法で蒸気を吸うようにしましょう。・集中力を高める
清涼感のあるシャープな香りは、頭をスッキリと冴えさせてくれます。仕事、勉強や車の運転など、集中力を高めたいという場面に適しています。
また、森林浴効果のあるα-ピネン(含有量10~20%)、鎮静作用のあるリモネン(含有量~10%)も微量ながら含まれており、集中力を高めると同時に心を落ち着ける作用も期待できます。
・鼻や喉の炎症を鎮める
1,8-シネオールには去痰・鎮咳作用や抗炎症作用があります。風邪や花粉症で鼻が詰まった時、喉にからんだ痰を切りたい時などに、積極的に香りを吸い込むことで症状が改善すると言われています。
ただし、ユーカリ・グロブルスは刺激が強いため、マスクなどに精油を垂らして直接吸入することは避けましょう。洗面器にお湯を張って精油を1滴垂らし、蒸気を吸い込む方法がオススメです。
この場合も長時間の使用は避け、目を閉じて蒸気が目に入らないように注意しましょう。必ず目を閉じて行ってください。
・免疫力を高める
抗菌・抗ウイルス作用・免疫力を高める作用があることから、風邪やインフルエンザの予防に役立つほか、初期の風邪であれば回復を早める効果も期待できます。
・肌の炎症を鎮める
抗炎症作用や殺菌作用により、ニキビ・湿疹・虫さされ・やけどなどの症状を緩和します。また、癒傷効果もあり、切り傷の回復を早めるとも言われています。
ただし皮膚刺激が強いため、肌への使用をメインにしたい場合はユーカリ・ラディアータを選んだほうが無難です。
・お部屋を消臭し、空気を清浄にする
抗菌作用と消臭作用により、汗臭さ・部屋にこもった不快なニオイ・タバコ臭などを消してくれます。殺虫効果もあるため、防ダニ対策として使うこともできます。
精油の使用方法については、ディフューザーで拡散させる、希釈して気になる場所にスプレーする、洗剤と一緒に洗濯機に入れるなどの方法があります。
ユーカリ・ラディアータ
穏やかに作用するユーカリ・ラディアータ
ユーカリ・ラディアータ精油は、ユーカリ精油のなかでも香りと刺激が最も弱い種類です。
主成分が1.8-シネオールで含有量は60~70%という点はユーカリ・グロブルスとほぼ同じですが、子どもや高齢者に対する使用も可能なほど、優しい成分となります。
理由は、強壮作用を持つα-ピネンの含有量が少なく、鎮静作用が期待できるリモネンの割合が多いためです。
・気分をリフレッシュさせる
穏やかながらも清涼感のある香りには、集中力を高める作用があります。ユーカリ・グロブルスと同様、森林浴効果のあるα-ピネン(含有量2~5%)、鎮静作用のあるリモネン(含有量5~10%)も含まれています。
ユーカリ・ラディアータの香りにはリフレッシュ効果があるとされ、気分を高めたい時や、不安定な心を落ち着かせたい時に役立ちます。
・鼻や喉の炎症を鎮める
1,8-シネオールの去痰・鎮咳作用については上記で述べましたが、ユーカリ・ラディアータは作用が穏やかで高齢者や小さなお子様にも使用できるほか、肌が敏感でなければ少量の精油を希釈してマッサージすることもできます。
赤ちゃんへの使用も可能とされていますが、あくまでも芳香浴にとどめるようにしましょう。
・免疫力を高める
刺激が少なく香りも穏やかなので、小さなお子様や高齢者の風邪やインフルエンザの予防などに広く役立ちます。
使用方法は蒸気での吸入のほか、コップに精油を数滴垂らしてうがいをする方法もあるようです。
・肌の炎症を鎮める
肌への使用をメインにするなら、ユーカリ・ラディアータがオススメです。切り傷・湿疹・虫さされ・やけどなどの症状の緩和はもちろん、ニキビを伴う油性肌のケアにも効果を発揮します。
シャンプーに混ぜて使うと頭皮が清潔に保たれ、フケを予防することができます。
・お部屋を消臭し、空気を清浄にする
消臭・防虫に有効なのはユーカリ・グロブルスと同じです。香りの好みや気分によって、また赤ちゃんなど刺激に弱い人がいるかどうかを考えて、精油を選ぶとよいでしょう。
ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)
ユーカリ・シトリオドラは別名レモンユーカリと呼ばれ、レモンに似た甘酸っぱい香りが特徴です。
主成分はシトロネラール(含有量65~75%)で1,8-シネオールをほとんど含みませんが、こちらにも抗菌・抗炎症作用があり広く使用されています。
・精神の興奮を鎮める
ユーカリ・グロブルスやユーカリ・ラディアータの清涼感ある香りが集中力を高めてくれるのに対し、ユーカリ・シトリオドラの柑橘のような香りには、不安や緊張をほぐして心を前向きにするリラックス効果があるといわれています。
・筋肉痛や肩こりの炎症を鎮める
シトロネラールには抗炎症作用・局所鎮痛作用があり、肩こり・筋肉痛・リウマチ・関節炎・坐骨神経痛など、身体のさまざまな炎症や痛みのケアに用いられます。
ただしアロマトリートメントなどは皮膚刺激を感じる場合がありますので、肌の弱い方は注意してください。
・お部屋を消臭し、空気を清浄にする
抗菌・抗ウイルス作用がありますので、お部屋の空気清浄や感染症予防に役立ちます。香りの特徴からいえば、就寝時やリラックスタイムでの使用にはこちらが適しています。
・虫さされ、真菌性皮膚炎などの炎症を鎮める
抗菌・抗炎症・抗真菌作用があり、虫さされや治りにくい水虫・皮膚真菌症・水ぼうそうなどの症状に使用できます。
・虫除け効果
シトロネラールは蚊やダニが嫌う成分だと言われており、市販の防虫剤ほどではありませんが、網戸にスプレーすると虫の侵入を防ぐことができます。
また肌にスプレーすれば虫除けになり、レモンのような香りはデオドラントとしても効果を発揮してくれます。
無水エタノール5mlに精油10滴(他の精油と組み合わせてもよい)を入れて振り混ぜ、後から精製水45mlを加えてよく混ぜれば完成です。
肌にピリピリとした刺激を感じる場合がありますので、お子様や刺激に弱い人が使う場合は精油の量を半分にしましょう。肌ではなく衣服や帽子にスプレーすればより刺激も少なく安心です。
ユーカリー精油の注意点
皮膚刺激が強い
ユーカリ精油は、香りも皮膚刺激も強いものが多いです。効き目を優先させて安易に使用すると、かえって皮膚や粘膜を傷めることにもなりかねません。肌が弱い人や刺激に弱い人は、慎重に使用するようにしましょう。
子どもに使えるのはユーカリ・ラディアータのみ
薬が使えない赤ちゃんの鼻づまりに、子どもの風邪予防に、ユーカリ精油が用いられることがあります。ただし、小さな子どもに使用できるのはユーカリ・ラディアータのみで、特に幼児期までは芳香浴のみ可能です。
皮膚につくと刺激を受けてかぶれたりすることもあるため、うっかり肌に触れないよう、精油の管理には十分注意しましょう。
妊娠中は控えた方が無難
ユーカリ・グロブルスは、その刺激の強さから妊娠中は禁忌とされています。芳香浴くらいならば問題ないという意見もありますが、香りが体調に合わずツワリが悪化したケースもあり、避けたほうが無難でしょう。
ユーカリ・ラディアータに関しては、妊娠中期から使用可能とされています。ただし、妊娠中は肌が敏感になりやすいため、アロマトリートメントなど成分が直接肌に触れるものには注意が必要です。
ペットに使う時は様子を見ながら
ユーカリ精油はペットのダニ対策にも有効ですが、精油の量が多すぎたり、ペットの体質に合わなかったりすると、かえって大切なペットの健康を損なうことがあります。
犬や猫は人間よりも嗅覚が優れており、なかでも身体の小さいペットはその影響をまともに受けてしまいます。決して人間の都合で無理強いしないようにしましょう。